人は生まれてから5歳までの間に、世界観が形成されると言われています。その時、周りにいた人たちの行動や価値観、偶発的な事件などが無意識に刷り込まれて、その子の世界を創る基準になるのです。
子どもの自己肯定感を高めるために必要なこと
心の居場所
子どもが安全・安心と感じながら生活するには、病気やケガ、事故や事件等に合わないといった状況の安全・安心だけでなく、「大事にされている」「尊重されている」など、心理面においても安全・安心と感じていることが必要です。これを、ありのままの自分でいることが保障され、排除される心配がない「心の居場所」がある状態と言います。
このような状態で生活することによって、子どもは自己肯定感をもつようになります。自己肯定感をもつことで子どもは、様々な活動に積極的に取り組むことができ、困難に直面しても粘り強く対処できるようになります。
人を認める感覚が循環する
自分が他者から肯定的に認められている子どもは、他者を肯定的に認められるようになっていきます。「自分が認められている感覚」-「自分を認める感覚」-「人を認める感覚」が循環して作用することにより、その子ども「心の居場所」は、確固としたものになります。
このような状態になれば、子どもは自分の力を十分に発揮し、多少の失敗にも挫けず、成長することができるようになります。「自己肯定感」は、子どもの気持ちを前向きで積極的にさせ、安全・安心に成長させるための土台となります。
子どもの成長にとって必要なもの
この「心の居場所」とそこで育まれた自己肯定感は、課題や困難に直面している特定の子どもだけでなく、全ての子どもの成長にとって必要なものであり、この状態を大人が率先してつくりだす必要があります
(上記はかながわの子ども・若者支援のあり方検討会議 > 自己肯定感を高めるための支援プログラム > 理論編より引用しました。)
1. どんなときでも味方であることを伝える
頭ごなしに悪いと決めつけない
子どもが難しい問題に直面して心細くなっているとき、友達との人間関係で悩んでいるとき、勉強が思うようにできないとき…こんな時、頭ごなしに子どもが悪いと決めつけたり、否定しないようにしましょう。
頭ごなしに子どもが悪いと決めつけたり否定すると、子どもは『誰もわかってくれない。』『誰も頼れない。』と感じてしまいます。
きちんと言葉にして伝える
子どもが良いことをしたときやうまくいったときだけでなく、心細いとき、悩んでいるとき、おもうようにできないとき、どんな時でもいつも味方であることをきちんと言葉にして伝えてあげましょう。
どんな時でも存在そのものを認めてあげることで、子どもは無条件の愛情で受け入れられていることを感じ、自己肯定感を高めることができます。
2. 話は真剣に聞く
最後まで話を聞いて共感する
子どもが何かを話しているときは、最後まできちんと話を聞くことが大切です。そして、まずは「それは大変だったね。」「それじゃ苦しいよね。」「本当に寂しいね。」などの言葉とともに共感をしてあげます。共感をしてもらえるだけで、子どもは心を開いて素直な気持ちになることができます。
アドバイスは共感した後
アドバイスや自分が言いたいことは共感した後にします。そうすることで、子どもは親を信頼するようになります。
途中で口をはさまれると心を閉ざす
途中で口をはさんだり、否定されたり、共感がないまま励まされたりアドバイスされると、子どもは『私の話を聞いてくれない』『どんなに大変かわかってもらえない』と感じて、心を閉ざしてしまうのです。
真剣に聞く姿勢を積み重ねる
親が子どもの話を真剣に聞く姿勢を積み重ねていくと、子どもは『私のことをわかってくれている。』『私は大切にされている。』という気持ちを持つことができ、無条件の愛情で受け入れられていることを感じ、自己肯定感を高めることができます。
3. 聞いて、認めて、叱る
一方的に叱られると自信をなくす
子どもの意見や気持ちを聞かずに一方的に叱ってしまうと、子どもは『自分の存在を否定された』と感じ自信をなくしてしまいます。
否定の気持ちだけ育つ叱り方
「だからあなたはダメなのよ。」「どうしていつもあなたはそうなの。」などと否定されながら叱られると、子どもは『自分はダメな子、悪い子なのだ』と否定の気持ちばかりが育ってしまいます。
ダメな理由も教えてあげる
まず子どもの言い分を聞き、子供の感情を受け入れ、認めるべき点を認めてから、叱るときは、なぜダメなのか理由も合わせて教えてあげることが大切です。このような叱り方は自己肯定感を高めることができます。
この順番が反対になってしまうと、子どもが自分は不要な人間だと思ってしまったり、愛されているという実感も持てなくなったりします。
4. 挑戦する前から失敗を決めつけない
挑戦はあたたかく見守る
子どもが何かに挑戦しようとしているときは、「あなたが決めたことならば、応援する」という姿勢であたたかく見守ってあげましょう。
子どもが傷つかないよう挑戦させない
子どもが何かに挑戦しようとしたとき、失敗して子どもが傷つかないようにと、「どうせできないわよ。」「失敗するに決まってる。」などと言って挑戦をさせないことがあります。
これがどんなに子どもを思っての発言でも、言われた子どもは『自分はできないんだ。』と感じてしまいます。また、その言葉が、子どもをより一層緊張させて上手くいかなかったり、失敗を繰り返させる結果になることがあります。
親が応援してあたたかく見守ってくれていると、子供は『ぼくはできる!』と自分を信頼して挑戦することができ、自己肯定感を高めることができます。
5. 努力や頑張りを認める
がんばりそのものを認める
子どもが挑戦したことが達成できたときはもちろん、もし失敗したとしても、そのプロセスやできないことに挑戦しているがんばりそのものを認めてあげましょう。
その体験の中でのがんばりを認めてあげると、失敗を恐れずに挑戦し続ける勇気や自信を持てるようになり、自己肯定感が高まるのです。
どんな結果でも受け入れる姿勢
たとえ成功できなくても、「きっとうまくいくよ」「あなたならできると信じているよ」などと声を掛けて、子どもが自信を持てるようにしてあげましょう。また、結果に対しては「どんな結果でも受け入れる」という姿勢が大事です。
6. 小さな成功経験をほめる
小さな成功経験が沢山ある
どんなに些細なことでも、見過ごさず褒めてあげましょう。年齢が低い子どもほど、昨日までできなかったことが今日はできたという小さな成功経験がたくさんあります。
小さな成功体験の積み重ねと、それが褒められ認められているという実感が自己肯定感を高めていくのです。
以前と比べて成長した点を褒める
褒めるときは、兄弟姉妹や他の子どもと比べて褒めるのではなく、その子自身が以前と比べて成長した点に注目して褒めてあげることも大事です。そうすることで、子どもはいつも自分のことを見ていてくれるという安心感が得られ、愛されているという実感につながります。
7. 感謝の言葉を伝える
お伝いや片付けなどをしてくれたとき、ささいなことであっても子どもに「ありがとう」と感謝を伝えましょう。
それにより、子どもは自分が必要とされている、自分に存在価値があると感じ、自己肯定感が高まるのです。
言わなくてもわかる「察する」という日本ながらの文化は、子どもには伝わりません。「伝わっているだろう」ではなく口に出して、子どもに伝えることが大切です。
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